子供の頃はあこがれたが・・・の巻
幼少期から中学校後期にかけて男の子というものは強いものにあこがれる傾向が多いと思う。
それは小さいころからメディアやら雑誌やらでヒーローものや正義の味方なるものを記憶していることに他ならないと思う。
子供の頃によく目にしたゴッコ遊びの中にも
「バリヤー!」
だの、
「いま俺、無敵ー!」
だのはよく耳にしたし言っていた記憶がある。
「もし何でも一つだけ願いがかなうとしたら?」
なんて質問をされたら結構の子が「不死身ー」だの「永遠の命ー」だの言ったことがあるのではなかろうか。
何でも悪さがし放題の「おれ透明人間ー」というのも記憶がある。
とりあえず自分は小さいころは仮面ライダーにあこがれて強いヒーローになりたかった。
唯一無二の存在。
どんなにピンチでも負けたりしない。
正義は最後には勝つのだ。
そんな宗教にも似た考えを微塵の疑問を持たず子供の頃は信じていた。
中学校でこの思いが強いと今でいう中二病という症状に陥る。
思春期に陥りやすい心の病だ。
幸い自分はこれが具現化せずに心の中だけで治まっていたのはファミコンブームという奇跡に遭遇していたのが一つの要因だ。
これは素直にありがとうと言っておこう。
ゲームが中二病を肩代わりしてくれたのだ。
あの状態が具現化するのはネタ的には非常に面白いのだが、周りに与えるイタさ加減が半端なく強い。
黒歴史は静かに存在するだけでいいのだ。
ゴッコ遊びが反抗期を過ぎた後に具現化するとたちが悪い。
明らかに犯罪志向が強まる。
コスプレなどという最近では認知されつつある方向に行けば万々歳なのだがある方向ではロリコン犯罪の火種にもなりかねない。
自身はロリコン属性もメイド属性もなかったのでギリギリ回避できたのでラッキーだった。
この両属性を持ちつつ立派な成人男性になった人には敬意を表する。
よほど心が強いのであろう。
ある意味スーパーリアリストである。
ちょっと話が脱線したが子供の頃にあこがれた「不死身」だの「透明人間」だのに憧れなくなったのはいつだったのだろうか。
何が起こっても死なない特性と人に気づかれないという最強スペック。
これらには致命的な欠点が存在する。
欠点に気づかされたのはある漫画とバラエティでの会話から。
まず不死身から。
どんな状況においても死なないというものは生活においてはまたとない強みである。
いつどんな時にでも健康であり、またいろんな経験を習得するにはマストアイテムである。
だがその経験を発揮するのはいいことなのだがいつまで使わなければならないのか。
結論的に未来永劫である。
死ねないという事は細胞的にも劣化しないという事であり、その状態のまま過ごさねばならない。
自分は不死身の概念は手塚治虫先生の「火の鳥」未来編で学習した。
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ただ、火の鳥では不死身ではなく永遠に近い存在として扱われている。
肉体としては不死身ではないのだ。
肉体は滅んでも精神は死なない。思念体として存在し続ける。
火の鳥の一部として生命の輪廻に融合される。
何とも壮大で気の長い話だ。
初めて読んだときは時間の概念が大きすぎて全くピンと来なかった。
かの有名アニメ「トップをねらえ!」でのエンディングと同じ衝撃だった。
この話を見たとき自分の中での不死身願望が音もなく崩れさった。
死にたいときに死ねない不自由さ。
何があっても生きている。
たとえ地球が滅んでもそこにいなければならない理不尽さ。
たまったもんではない。
疲れ果てたら気ままにリセットするのもいいはずだ。
それが人類全員に与えられた特権の一つ。
その時は是非とも周りに人たちに迷惑をかけない状態で行ってほしい。
迷惑をかけるのが嫌なら生を全うするべきだ。
人間界以外での生き方ではそれが普通だ。
強制的に終わらせるなど本来はおこがましいやり方なのである。
なまじ脳が発達するとメンドクサイものである。
だから自分は不死身も嫌いだし自殺も嫌いだ。
もう一方の透明人間はもっとすごく簡単な理由だった。
もし見えない状態で死んだらどうなるか?
この疑問だけで結論が出た。
見えない=(イコール)認識されない
存在自体が消えるのである。
透明人間の時に交通事故に合ったらどうなるか。
助かる場合でも見えないために処置の仕様がない。
救急車も呼ばれない。
ほったらかしである。
あとは野となれ山となれ。
空耳の声が周りにこだまするだけ。
そんなのは嫌だろう?
だから自分は透明人間も否定する。
子供の幻想は子供の頃で終わらせるべきだ。
どんなことにもリスクはついて回る。
嫌な考え方だがこれが現実らしい。ヒーローたちはリスクとともに存在するのだ。
欲をいうなれば死ねることができる不死身の体が欲しいと矛盾の思いをいだきつつ今日も一日過ごしている。
透明な不死身の存在万歳!